コラム
【会社設立】法人成りのメリット(節税面)7選
1.「役員報酬」による節税
個人事業主では、売上から経費を差し引いた事業所得に対して所得税が課されます。
法人成りをして会社の役員になれば、役員報酬を受け取ることができ、給与所得として所得税が課されます。
事業所得では、65万円の青色申告特別控除が適用されますが、給与所得では、給与所得控除が55万~195万円が適用されるので、
役員報酬として給与を受け取るほうが控除額が大きいため、節税に繋がるといえます。
2.「家族への給与を支払う」ことによる節税
個人事業主の場合、事業専従者の届出を出すことで家族への給与を経費にできますが、原則的には、家族への給与は経費として認められません。
一方、法人成りを行うことで、家族へ給与の支払いを容易に経費にできます。
事業専従者の届出においては、就業実態や同一生計、配偶者控除や扶養控除の制約が伴うので、法人成りを行い、家族への給与を経費に計上する方が自由度が高く節税に繋がります。
3.「退職金」による節税
会社において、5年以上勤務した役員には、退職金を支払うことが可能です。以下2点の節税のメリットがあります。
・会社側では、退職金を経費にできる
・受取側では、役員報酬による給与所得よりも退職金による退職所得の方が所得税の優遇が大きい
4.「欠損金(赤字)の繰越控除」による節税
事業を行う上で、赤字が発生した場合に、翌期以降に繰り越すことが可能です。
青色申告を前提に、個人事業主の場合は、3年間、会社の場合は、10年間に渡って、欠損金の繰越控除ができます。
赤字が発生した翌期に利益が出た場合に、欠損金を充当して控除できるので、節税になります。
5.「保険料」による節税
個人事業主の場合は、加入している保険料を経費に算入できない場合が多いです。
一方、会社であれば、保険の種類によって全額または半額の経費に計上できることがあります。
6.「消費税の納税免除」による節税
事業で課税売上高が1,000万円を超えた場合は、2年後に消費税を納める義務が生じます。
しかし消費税には、基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下であれば、課税事業者とならなくてよいという特例があります。
会社設立時には、前々事業年度が存在せず資本金1,000万円未満で法人成りを行えば、第1期と第2期の消費税が免除されます(ただし、第2期は、第1期の半年間の売上又は給与支払額が1,000万円を超える場合は例外あり)。そのため、個人事業で課税売上高が1,000万円を超えた期に、法人成りをすることで、向こう2年間は、消費税が免税となるため節税に繋がります。
7. 「税率差」による節税
税率差とは、主に法人税率(15~23.2%)と所得税率(5~45%)の差額によるもので、個人事業の課税所得が330万円を超えた場合には、法人成りをした方が節税に繋がります。
個人事業主にかかる税金は、所得税に加え住民税もあり、住民税の税率は所得の大小に関わらず10%で、所得税と合わせると最大で55%になります。一方、法人の場合、法人税に加え法人住民税を考慮した法人実効税率でみても、最大で約34%です。
個人事業主の課税所得が330万円を超えると、所得税と住民税の税率が 20%(所得税率 10%+住民税率 10%)から、30%(所得税率 20%+住民税率 10%)に上がります。一方、現在の中小法人の法人税実効税率は、年間所得の金額が 400万円以下だと約21%です。
個人事業にかかる所得税率と住民税率の和が、会社にかかる法人税率を上回るので、法人成りした方が節税に繋がるといえます。