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預金ごとの相続税の計算方法は?相続時の注意点や手続きの流れを解説
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「預金の相続税の計算方法は?」
「名義預金やタンス預金の相続はどうなる?」
「預金の手続きの流れが知りたい」
上記の疑問をお持ちの方は、預金の相続税が高額になり、子供たちに負担をかけたくないと将来に不安があるのではないでしょうか。
相続手続きは複雑で時間がかかりますが、一方で、家族間でのトラブルを未然に防ぐためにも早めの準備が望ましいです。
また、安心して老後を迎えるためにも、将来的に専門用語や複雑な手続きに振り回される前に専門家へ相談するのがおすすめです。
本記事では、「預金別の相続税の算出方法や相続時の注意点、手続きの流れ」を紹介します。さらに相続税の申告・納付期限や必要書類まで紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
【預金別】相続税の算出方法
預金別の相続税の算出方法を、以下に3つ紹介します。
- 普通預金
- 定期預金
- 外貨預金
それぞれ紹介します。
普通預金
普通預金の相続税は、相続財産の評価額に基づいて計算されます。加えて、普通預金の相続税評価額は、預金残高に基づきます。
普通預金の相続税評価額の計算式は、以下のとおりです。
- 普通預金の相続税評価額 = 預金残高 + 利息(僅少の場合には計算に入れません)
また課税対象額の計算は、相続財産の合計額が基礎控除額を超える場合、超えた部分が課税対象となります。
- 基礎控除額 = 3,000万円 + (法定相続人の数 × 600万円)
具体的に「普通預金残高:1,000万円、法定相続人:2人」の場合は、以下のとおりです。
- 普通預金の相続税評価額 = 1,000万円
- 基礎控除額 = 3,000万円 + (2人 × 600万円) = 4,200万円
相続税の税率は、課税対象額(10%〜55%の累進課税)に応じて異なるためよく確認しましょう。
定期預金
定期預金の相続税も、相続開始時点での残高と確定利息を合算して評価額を算出します。
満期の到来に関係なく、相続時点の金額が基準です。
- 定期預金の相続税評価額 = 預金残高 + 未収利息 – 利息にかかる税
たとえば、定期預金の残高が800万円で、確定した利息が2万円の場合、定期預金の評価額は802万円です。
金融機関から発行された残高証明書と利息計算書を参考に、正確な評価額を計算して申告しましょう。
外貨預金
外貨預金の相続税は、相続開始時の外貨残高を日本円に換算し、利息も含めて評価額の算出が必要です。外貨の換算には、相続開始日の為替レートを使用します。
- 外貨預金の相続税評価額 = (外貨残高 × 相続開始日の為替レート) + (外貨利息 × 相続開始日の為替レート)
たとえば、以下を例にして評価額を考えてみます。
- 相続開始時の外貨残高:10,000ドル
- 為替レート:1ドル = 110円
- 利息:100ドル
上記を踏まえて計算すると、以下のとおりです。
- 評価額 = (10,000ドル × 110円) + (100ドル × 110円) = 1,100,000円 + 11,000円 = 1,111,000円
日本円に換算した評価額を申告書に記載し、正しく相続税を計算しましょう。
預金を相続する場合の注意点
預金を相続する場合の注意点は、以下の5つです。
- 相続税の申告と納付を実施する
- 遺産分割協議を実施する
- 口座の凍結と解除手続きをおこなう
- 休眠口座に注意する
- 必要書類を準備する
ひとつずつ解説します。
相続税の申告と納付を実施する
預金を相続する際には、相続税の申告と納付が必要です。
申告と納付の期限は、被相続人が亡くなった翌日から10カ月以内です。
もし期限を過ぎると、延滞税や加算税が課されるため、早めの対応が求められます。
申告書の提出先は、被相続人の住所地を管轄する税務署です。
相続税は、被相続人から受け継いだ財産の総額が基礎控除額を超える場合に課されます。
申告には、遺産分割協議書や戸籍謄本、財産目録などの書類が必要となるため、詳細は国税庁の公式サイトをご参照ください。
遺産分割協議を実施する
遺産分割協議書は、金融機関での相続手続きや不動産の名義変更などに必要です。
被相続人が遺言を残していない場合、遺産分割協議を通じて各相続人の取り分を決定します。
遺産分割協議は、相続人全員で遺産の分配方法を話し合い、合意を得る重要な手続きです。
協議が成立したら、遺産分割協議書を作成し、全員が署名・押印します。
もし協議がまとまらない場合、家庭裁判所での調停や審判に進むケースもあります。
円滑な相続手続きを進めるため、相続人全員の意見を尊重し、慎重に話し合いを進めるのが大切です。
口座の凍結と解除手続きをおこなう
口座名義人が亡くなった場合、金融機関は事実確認をおこなったうえで、該当口座を凍結します。
口座が凍結となる理由は、不正な引き出しや相続トラブルを防ぐための措置です。
凍結された口座から預金を引き出すには、相続人全員で遺産分割協議をおこない、合意内容をまとめた遺産分割協議書の作成が必要です。
その後、金融機関に所定の書類とともに提出し、口座の凍結解除手続きを進めます。
手続きには、被相続人の死亡届や相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書や遺産分割協議書などが必要です。
書類を適切に準備し、速やかに手続きをおこなうことで、預金の引き出しや相続手続きを円滑に進められます
休眠口座に注意する
休眠口座とは、長期間取引がないために休眠状態となった銀行口座のことです。
相続手続きにおいて、被相続人が所有していた休眠口座の存在を見落とすと、遺産分割が不完全になる可能性があります。
とくに、古い通帳や口座が見つかった場合、該当する銀行が合併や統廃合で消滅しているケースもあり、手続きが複雑化する場合もあります。
そのため、被相続人の財産を正確に把握し、休眠口座の有無の確認が重要です。
また、休眠口座の解約手続きには、相続人全員の同意や必要書類の提出が求められるため、早めの対応が必要です。
必要書類を準備する
預金を相続する際には、被相続人の死亡を証明するための必要書類の準備が重要です。
金融機関での手続きには、以下の必要書類が挙げられます。
- 被相続人(亡くなられた方)の戸籍謄本
- 被相続人の除籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書
- 遺言書
- 金融機関所定の相続手続き依頼書
上記の書類は、相続人全員の同意を得て作成し、正確に揃える必要があります。
とくに、遺産分割協議書には相続人全員の署名・捺印が必要であり、印鑑証明書も添付が必要です。
金融機関によって追加の書類が必要となる場合もあるため、事前に確認しておくとスムーズに手続きを進められます。
必要書類の不備や遅延は、相続手続き全体の進行を妨げる原因となるため、早めの準備と確認が大切です。
預金を相続する際の手続きの流れ
預金を相続する際の手続きの流れは、以下のとおりです。
- 被相続人の死亡届を提出する
- 被相続人の口座がある金融機関へ連絡する
- 相続人を決める
- 遺産分割協議の実施する
- 金融機関で相続手続きをおこなう
被相続人の死亡届を提出する
被相続人が亡くなった場合、7日以内に市区町村役場へ死亡届を提出します。
死亡届を提出すると、戸籍が更新され、相続手続きの基礎が整います。
被相続人の口座がある金融機関へ連絡する
金融機関に被相続人の死亡を通知すると、口座が凍結されます。
口座が凍結されると、不正な引き出しが防止され、相続手続きが円滑に進められます。
相続人を決める
被相続人の戸籍謄本を収集し、法定相続人を確定します。
相続人全員の同意が必要な手続きもあるため、全員の確認が重要です。
遺産分割協議を実施する
相続人全員で遺産の分割方法を話し合い、合意内容を遺産分割協議書として文書化します。
文書化することで、あらかじめ家族間のトラブルを防止できます。
金融機関で相続手続きをおこなう
必要書類を揃え、金融機関で相続手続きを進めます。
手続き完了後、預金の払い戻しや名義変更が可能となります。
預金の相続でよくある質問
預金の相続でよくある質問を、7つまとめました。
- 預金が相続の対象になる理由は?
- 名義預金やタンス預金の相続はどうなる?
- 相続税の申告・納付期限はいつですか?
- 相続手続きにはどのくらいの期間がかかりますか?
- 口座名義人が亡くなった場合の手続き方法は?
- 相続手続きに必要な書類は何ですか?
- 被相続人の口座はいつ凍結されますか?
それぞれ紹介します。
預金が相続の対象になる理由は?
預金は被相続人の財産の一部であり、相続の対象です。
また、民法第896条では、被相続人の財産に属した一切の権利義務は相続人に承継されると定められています。
預金は被相続人の財産に属する権利であり、相続人が承継するため、相続の対象となります。
名義預金やタンス預金の相続はどうなる?
名義預金やタンス預金は、相続税の課税対象となるため申告が必要です。
名義預金やタンス預金の概要は、以下のとおりです。
- 名義預金:実際の所有者と預金口座の名義人が異なる預金
- タンス預金:自宅の金庫やタンスなどに現金を保管しているもの
申告漏れや意図的な隠蔽は、税務調査やペナルティのリスクを高めます。
相続税の申告に不安がある場合は、専門家に相談するのがおすすめです。
相続税の申告・納付期限はいつですか?
相続税の申告・納付は、相続の開始があったことを知った日の翌日から「10カ月以内」におこなう必要があります。
もし期限を過ぎると、延滞税が発生する場合もあるため注意が必要です。
一方で、具体的な状況によって異なる場合もあります。
詳細や最新の情報については、専門家や各金融機関に直接問い合わせてみましょう。
相続手続きにはどのくらいの期間がかかりますか?
必要書類の準備や金融機関の処理状況によりますが、1週間から数週間程度かかります。
早めに手続きを開始し、必要書類を速やかに揃えることがスムーズな手続きのポイントです。
口座名義人が亡くなった場合の手続き方法は?
口座名義人が亡くなった場合の手続き方法は、まず金融機関に被相続人の死亡を連絡します。
その後、相続手続きに必要な書類を準備し、金融機関に提出が必要です。
具体的な手続きや必要書類は金融機関によって異なるため、各金融機関に確認してみましょう。
相続手続きに必要な書類は何ですか?
相続手続きに必要な書類は、以下のとおりです。
- 被相続人(亡くなられた方)の戸籍謄本:出生から死亡までの連続したもの
- 被相続人の除籍謄本:死亡が記載されたもの
- 相続人全員の戸籍謄本:相続人であることを証明するためのもの
- 相続人全員の印鑑証明書:実印の証明として必要
- 遺産分割協議書:相続人全員の署名・捺印があるもの
- 遺言書:存在する場合はその写し
- 金融機関所定の相続手続き依頼書:各金融機関が指定する書類
ただし、金融機関や状況によって必要書類は異なる場合があるため、詳細は各金融機関に問い合わせてみましょう。
被相続人の口座はいつ凍結されますか?
金融機関が被相続人の死亡を知った時点で、口座は凍結されます。
凍結後は、相続手続きが完了するまで出金や振込などの取引ができないため注意しましょう。
まとめ 預金の相続を計画的に進めてトラブルを防ごう
預金の相続税の評価額は、普通預金・定期預金・外貨預金ごとに異なります。
- 普通預金の相続税評価額 = 預金残高 + 利息(僅少場合には計算に入れません)
- 定期預金の相続税評価額 = 預金残高 + 未収利息 – 利息にかかる税
- 外貨預金の相続税評価額 = (外貨残高 × 相続開始日の為替レート) + (外貨利息 × 相続開始日の為替レート)
また、相続税の申告・納付は、相続の開始を知った日の翌日から「10カ月以内」におこなう必要があります
家族間のトラブルを未然に防ぎ、安心して老後を迎えるためにも、早めに専門家へ相談して準備を進めていきましょう。
相続税についてお悩みの方は、ぜひ翔和会計までお気軽にご相談ください。
監修者
税理士法人翔和会計
代表社員税理士
田本 啓(たもと あきら)
大学卒業後サービサー(債権回収管理総合事務所)にて債権・不動産を中心としたコンサルティング・登記関連サービス
都内会計事務所にて法人様、個人事業主様、経営者様の決算及び申告(節税対策・税務調査対応・独立開業支援業務を含む)並びに相続税・贈与税申告業務を経験。
クライアント様がより経営に集中できる環境を一番に考え会計・税務の枠を超えた総合的なご提案とキャッシュリッチになるための資金繰り分析・実行コンサル支援の他、セミナー運営や節税商品の企画など幅広いサービスを展開しています。