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ローンが残っている場合は相続税から控除可能|注意点や節税対策を解説

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「親の遺産を相続するときに住宅ローンがどうなるのか分からない」

と悩んでいる方がいるのではないでしょうか。

住宅ローンを相続する際は契約状況によって対応方法が変わるため、事前に把握しておく必要があります。

住宅ローンを相続税から控除できるのを知っておくと手続きがスムーズになるほか、高額な税金を支払わなくてすむでしょう。

ほかにも、住宅ローンを組んで節税をする場合や注意点を解説していくため、何から手を付けていいか分からない方は最後まで読んでください。

ローンが残っている不動産の相続税がいくらか判断する流れ

住宅ローンが残っている不動産の相続税は、以下の流れで確認できます。

  1. 遺産の総額とローンやその他負債の金額を出す
  2. 団信や生命保険に加入しているか確認する
  3. ローンを控除して相続税を計算する

遺産の総額や保険の契約状況によって相続税は変化するため、一緒に確認していきましょう。

遺産の総額とローンやその他負債の金額を出す

まずは、不動産や現金などの資産とローンやその他負債の金額を出し、遺産の総額を確認します。

特に不動産を相続する場合は、立地などに応じて評価額が変化するため、注意しましょう。

団信や生命保険に加入しているか確認する

団信や生命保険に加入している場合は、負債が控除されるため必ず確認しておきましょう。

団信に加入しているかどうかは、住宅ローンを返済している金融機関に問い合わせて確認してください。

金銭消費貸借契約証書が手元にある方は、その書類でも確認可能です。

また、以下の方法で生命保険に加入しているかも確認しましょう。

  • 保険証書を確認する
  • 保険会社からの郵便物を確認する
  • 支払い履歴や通帳を確認する

ローンを控除して相続税を計算する

住宅ローンを控除して相続税を計算していきます。

控除の内容は団信と生命保険で異なるため、各項目で確認してください。

団信に加入していた場合

団信に加入していた場合は、保険金でローンの返済が完了するため、住宅ローンを考慮することなく、全額無いものとして相続税を計算します。

現金・株式など 1000万円

土地・不動産 3000万円

住宅ローン(団信あり) 1000万円

資産の内訳が上記だった場合、住宅ローンの1000万円は団信保険で完済されるため、課税対象は4000万円です。

課税対象の金額が分かった方は、基礎控除額や税率を考慮して計算をすると、相続税がいくらか判断できます。

生命保険に加入していた場合

生命保険に加入していた場合、住宅ローンはそのまま残り相続税の計算では債務として受け取った財産からマイナスの財産として引く形になります。

現金・株式など 1000万円

土地・不動産 3000万円
生命保険金 1500万円

(受取金3000万円ー控除額1500万円…法定相続人3名として計算) 

住宅ローン 1000万円

例えば上記の場合は

1000万円+3000万円+1500万円ー1000万円=4500万円

が課税対象の金額となります。

※生命保険には「法定相続人の数×500万円」分の基礎控除があります。資産の相続に仕方によっては受取人が誰であるかで相続税の納税額が変わってきますので注意が必要です

課税対象の金額を計算できた方は、基礎控除額や税率を考慮して相続税を計算してください。

相続税の計算がうまくできない方は、国税庁の相続税の申告要否判定コーナーを利用しましょう。

国税庁 相続税の申告要否判定コーナー

 

団信に加入していると相続税はどうなる?

団信(団体信用生命保険)とは、住宅ローン返済中の契約者に万が一の事があった場合、支払い残高が0円になる保険です。

住宅ローンを契約する際に一緒に加入しているケースがほとんどでしょう。

ただし、住宅支援機構提供のフラット35に関しては任意加入なため、加入状況を把握する際は注意が必要です。

この章では、団信に加入している場合に相続税がどうなるのかを解説していきます。

団信に加入していれば住宅ローンは完済・免除される

団信の契約者が死亡、または高度障害状態になった場合、保険会社が住宅ローンを契約している金融機関へ残りの金額を支払います。

契約者に万が一の事があった場合は、死亡届などを用意して住宅ローンを契約している金融機関へ連絡しましょう。

必要書類を提出し審査が終わると、住宅ローンが完済・免除されます。

連帯保証だと控除されない場合がある

連帯保証で住宅ローンを契約した場合は、加入者によって控除されない可能性があるため注意が必要です。

夫婦で連帯保証を組んでいたとしても、団信に加入しているのは1人だけです。

例えば夫が団信の債務者だった場合、妻が死亡しても免除されません。

一方で、連帯債務で契約をした場合は、債務者のどちらかが死亡、または高度障害状態になると免除されます。

そのため、住宅ローンを契約している場合は団信の契約状況を確認しておくようにしましょう。

生命保険に加入している場合の相続税とローン

団信には加入せず、生命保険のみ加入している方もいると思います。

生命保険に加入している場合は住宅ローンが免除されないため、残った金額を返済しなければいけません。

ですが、生命保険に加入している場合は受け取った保険金で相続税を支払いますが受取保険金の非課税枠を上手く利用すると相続税を減らすことができます。

生命保険に加入していても住宅ローンは債務として残り債務控除の対象となる。

生命保険に加入している場合は、残った住宅ローンが債務控除の対象となるため、相続税の計算の上では債務として控除対象となります。

保険金は住宅ローンの返済に充てたり、相続税の納付額として収めたりできます。

生命保険の非課税枠で相続税は減らせる

相続人が受け取る生命保険の保険金には、以下の非課税限度額が設定されています。

非課税限度額=500万円×法定相続人の数

保険金が非課税限度額以内であれば相続税は課されません。

ただし、生命保険の加入者と受取人が同じ場合は相続税ではなく、所得税の課税対象となるため注意しましょう。

相続税対策で不動産を購入するときはローンを組んだほうがいい?

相続税対策で不動産の購入を考えている方もいると思います。

また、遺産の整理をする際に残っている住宅ローンを完済するか検討されている方もいるでしょう。

ローンを組み完済しない方が節税になるため、それぞれの項目に分けて詳しく解説していきます。

不動産を購入するのであればローンを組むほうが節税になる

相続税対策で不動産を購入する場合は、住宅ローンを組むとトータル節税となる時もあります。

住宅ローンを組むと住宅ローン控除が受けられるため、所得税や住民税を減らせるからです。

また、不動産は購入すると評価額が下がるため、購入するだけで節税効果があると言えます。

不動産を購入して住宅ローンを組むと節税になりますが、今後の管理や売却の際には別途税金がかかります。

そのため税金だけではなく、今後の生活を検討したうえで住宅ローンを組むか検討するといいでしょう。

不動産のローンは完済しない方が節税になる

住宅ローンが残っている方のなかには、生前に余った退職金などを利用して完済しようと検討されているのではないでしょうか。

節税を考えるのであれば、住宅のローンは完済しない方が節税になる場合があります。

万が一の場合には次の相続で債務控除が利用できるほか、不動産の評価額は市場価格よりも下がる傾向にあるからです。(ここ数年は増加傾向ですが)また借入金に見合った生命保険金へ加入するなどでリスクをヘッジすることが出来れば良いという考え方もあります。

わざわざ手元の資金を減らすのであれば、現金を残して資産を運用するほうが長期的な利益になる場合もあるため、自身の状況にあわせて検討しましょう。

ローンが残っている場合は支払いに注意する

住宅ローンが残っている場合は以下3つの点に注意しなければいけません。

  • 不動産を売却する場合は特別控除枠に注意
  • 自身の確定申告の際は住宅借入金等特別控除が使えない
  • 相続税が支払えない場合は相続放棄や限定承認を検討する

特に相続後に住宅ローンの支払いを続ける方や不動産を売却する予定がある場合は各項目をチェックしてください。

不動産を売却する場合は特別控除枠に注意

不動産を売却する場合に使える3000万円までの特別控除枠は、自宅として使用していた場合、または相続で取得した一定の空き家物件でしか利用できません。

例えば親の住宅を子どもが相続する場合、相続時に別居状態であれば空き家となります。

一定の要件を満たせば相続空き家の特例の利用ができますが相続後貸付利用などを行ったらこの特例が利用できなくなります。

また、相続後、同居親族が取得してそのものが売却した場合、居住用の特別控除の対象になりますが、同居していない者が相続を行い売却を行うと特別控除が利用できないため、売却する際に所得税がそのまま課税される点に注意が必要です。

3000万円の特別控除を利用する場合は、前提条件の確認が大切になります。

確定申告の際は住宅借入金等特別控除が使えない

住宅借入金等特別控除とは、住宅ローンの残高に対して一定の金額を所得税から控除できる制度です。

住宅ローンを組んでいれば、住宅借入金等特別控除により所得税が控除されます。

しかし、相続後に被相続人の住宅ローンを支払い続ける場合は控除できません。

住宅ローンの相続は、負債を相続しただけで住宅を取得するための借入金ではないからです。

相続税が支払えない場合は相続放棄や限定承認を検討する

相続税が高額になり支払いが困難な場合は、以下4つの方法を検討しましょう。

・相続放棄や限定承認をする

・延納や物納で対応する

・不動産を売却して費用を確保する

・金融機関に相談して返済プランを見直す

どの方法が最適かどうかは、資産の状況や支払額などによって異なります。

そのため、相続税や住宅ローンの支払いで困った場合は税理士や金融機関に相談しましょう。

まとめ

住宅ローンが残っている場合は、団信や生命保険などの加入状況を確認し、債務控除の対象になるのか、完済・免除の扱いになるのか確認しましょう。

個々の状況によって相続税対策は異なるため、見極めて対応するのが重要です。

まずは相続財産と住宅ローンを含めた負債を洗い出し、どれくらい相続税がかかるのかなるべく早く把握しましょう。

相続税が多くなりそうな場合や負債をどのように対処すればいいのか分からない場合は、税理士や金融機関に相談するようにしてください。

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監修者:田本啓

監修者
税理士法人翔和会計
代表社員税理士
田本 啓(たもと あきら)

大学卒業後サービサー(債権回収管理総合事務所)にて債権・不動産を中心としたコンサルティング・登記関連サービス
都内会計事務所にて法人様、個人事業主様、経営者様の決算及び申告(節税対策・税務調査対応・独立開業支援業務を含む)並びに相続税・贈与税申告業務を経験。

クライアント様がより経営に集中できる環境を一番に考え会計・税務の枠を超えた総合的なご提案とキャッシュリッチになるための資金繰り分析・実行コンサル支援の他、セミナー運営や節税商品の企画など幅広いサービスを展開しています。

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