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葬儀費用はどこまで相続税控除できる?注意点や申告方法を解説!
投稿: 更新:ブログ
葬儀費用を相続税から控除できるのはご存じの方も多いと思います。
しかし、どこまで控除できるのか分からず、不安な方もいるのではないでしょうか。
この記事では相続税から葬儀費用をどこまで控除できるのかを、項目ごとに解説していきます。
お坊さんへの心付けや四十九日などの法要費用は、相続税控除の可否が異なるため、チェックしておきましょう。
また、葬儀費用を相続税から控除する際の注意点や申告方法も解説しているため、最後まで読んでください。
【目次】
1.葬儀費用はどこまで相続税控除できる?費用項目を解説!
葬儀費用 |
控除可否 |
通夜・告別式の費用 |
可 |
火葬費用 |
可 |
納骨費用 |
可 |
死体捜索費用 |
可 |
香典返し |
否 |
法要費用(初七日や四十九日など) |
否 |
生前に購入したお墓の未払金 |
否 |
葬儀費用は相続税から控除できます。
しかし、全ての費用を控除できるわけではないため注意が必要です。
申告の際に迷わないように控除可否をチェックしておきましょう。
相続税から控除できる葬儀費用
国税庁は、相続税から控除できる葬儀費用を以下のように定めています。
遺産総額から差し引く葬式費用は、通常次のようなものです。
(1) 葬式や葬送に際し、またはこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用が控除できます。)
(2) 遺体や遺骨の回送にかかった費用
(3) 葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用がこれに当たります。)
(4) 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
(5) 死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用
引用元:国税庁
各項目では、それぞれの費用の内容について解説していきます。
通夜・告別式の費用
通夜・告別式にかかった費用全般を相続税から控除できます。
葬儀会社へ支払った費用、参列者へ提供するために購入した食事やお菓子、飲み物などの代金が該当します。
ほかにも、運転手さんやお坊さんへの心付けの費用も相続税から控除可能です。
ただし領収書がない場合がほとんどなため、申告する際に確認できるよう、メモやノートに記録しておきましょう。
火葬費用
火葬費用も相続税控除の対象です。
火葬費用には、葬儀場から火葬場までのマイクロバスの料金や食事代も含まれるため、把握しておきましょう。
納骨費用
納骨にかかる費用は控除対象ですが、墓石の購入費や彫刻料は対象外なため注意してください。
お墓の開閉など、納骨そのものにかかる費用が対象だということを覚えておきましょう。
死体捜索費用
死体、遺骨の捜索や運搬費用も相続税から控除できます。
ほかにも、死亡診断書の発行費用も火葬に必要なものとして控除可能です。
相続税から控除できない葬儀費用
国税庁は以下に該当する費用は、相続税から控除できないとしています。
次のような費用は、遺産総額から差し引く葬式費用には該当しません。
(1) 香典返しのためにかかった費用
(2) 墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
(3) 初七日や法事などのためにかかった費用
引用元:国税庁
それぞれの項目について詳しく解説していきます。
香典返し費用
参列者から受け取る香典は課税されないのもあり、香典返しの費用は相続税から控除できません。
勘違いしやすい項目なため、覚えておきましょう。
法要費用(初七日や四十九日など)
初七日や四十九日などの法要に関する費用は、葬儀と直接関係がないため、控除できません。
ただし、繰り上げ法要を行う場合は葬儀費用に含めてもいいと考えられています。
繰り上げ法要とは、葬儀と初七日を同じ日に行うことです。
葬儀会社の内訳に繰り上げ法要の費用が含まれている場合は控除可能です。
生前に購入したお墓の未払金
故人の希望によって、生前にお墓を購入する場合もあると思います。
親が生前にお墓を建てておくと相続遺産を減らせるため、節税になるでしょう。
しかし、ローンを組んでお墓を建てた場合、未払金などの費用を控除できません。
配偶者や子供が新たにお墓を建てる場合でも控除の対象にはならないため、気をつけましょう。
2.葬儀費用を相続税から控除する際の注意点
葬儀費用を相続税から控除する際は、以下に注意してください。
- 葬儀費用に関する領収書は保管する
- 領収書がない場合はメモやノートに記録しておく
- 葬儀でお坊さんにお布施をしたら領収書はもらえますか?
葬儀の際は相続のことを考える余裕がない場合も多いため、把握しておくと申告の際にスムーズになるでしょう。
葬儀費用に関する領収書は保管する
葬儀費用を相続税から控除するためには、費用の内訳を詳細に申告する必要があります。
そのため相続税の申告書に、葬儀費用が記載された領収書を添付しなければいけません。
葬儀会社から請求された費用以外にも、コンビニやスーパーで購入したお菓子や飲み物の代金も控除可能です。
領収書がない場合はメモやノートに記録しておく
お坊さんや運転手さんへの心付けなど、領収書が発生しない場合は、費用と内容をメモやノートに記録しておいてください。
記録しておく項目は以下の4つです。
- 日付
- 支払先の名称・住所
- 金額
- 葬儀費用の内容
適切に申告をするためにも、領収書がない費用は正確な金額と内容を記録しておくようにしましょう。
葬儀でお坊さんにお布施をしたら領収書はもらえますか?
お布施は気持ちの側面が強いため、領収書を発行するお寺は多くありません。
ですが、葬儀の翌日以降にお礼を兼ねて領収書の発行を依頼すると対応してもらえる場合もあります。
領収書を発行してもらえなかった場合は、メモやノートに費用の内訳を記録しておいてください。
3.葬儀費用控除の対象ではない人は?
遺産を相続した人は葬儀費用を相続税から控除できます。
しかし、特定の場合に限り葬儀費用を相続税から控除できません。
この項目では、葬儀費用控除の対象に該当するのはどのような場合なのかを詳しく解説していきます。
葬儀費用控除の対象者
相続人だけでなく、包括受遺者も葬儀費用を相続税から控除可能です。
ただし親族すべてではなく、遺産を相続した人が葬儀費用を負担した場合に、控除できるため注意しましょう。
葬儀費用控除の対象者ではない人
以下に該当する人は葬儀費用を相続税から控除できません。
- 制限納税義務者
- 特定受遺者
- 相続放棄をした人
相続税の申告にも関わるためチェックしておきましょう。
制限納税義務者
以下の条件に該当する方は制限納税義務者であるため、葬儀費用を相続税から控除できません。
- 故人(相続する人)の住所が日本国外の場合
- 相続される人が日本に住んでいない場合
- 日本国籍、外国籍に関わらず、10年以内に日本に住んでいない人
現在海外に住んでいる方は、制限納税義務者に該当する可能性があるため注意しましょう。
特定受遺者
特定の財産の遺贈を受けた受遺者を「特定受遺者」と言います。
遺言書に「Aさんに土地Bを遺贈する」と記載されていた場合、Aさんは特定遺贈者です。
遺贈された方は相続人ではないため、葬儀費用を相続税から控除できません。
相続放棄をした人
相続放棄をした人は原則控除の対象外ですが、例外もあります。
例えば相続放棄をし、遺贈により特定の財産を受け取った場合や保険金の受取人になっている場合です。
相続税が発生し、葬儀費用を負担した場合は控除できると覚えておきましょう。
4.葬儀費用を相続税から控除する際の計算方法
ここでは葬儀費用を相続税から控除する際の計算方法を以下3STEPで解説していきます。
- 課税価格を計算する
- 相続税の総額を計算する
- それぞれの納付税額を計算する
生前に相続税がいくらなのか把握しておくと、遺産の整理などの節税対策が可能です。
相続税は比較的簡単に計算ができるため、各項目を参照のうえ実際に試算してみましょう。
1.課税価格を計算する
まずは、土地や建物、株式や保険金などの財産から借入金などの負債を引いて、遺産の総額を計算します。
葬儀費用を控除する際は、ここで財産から引いておいてください。
次に、以下の式で基礎控除額を求めていきます。
基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
例えば、故人(被相続人)の法定相続人が配偶者と子2人だった場合は
「3000万円+600万円×3=4800万円」です。
そして、遺産の総額から基礎控除額を引き、課税価格を算出します。
(例)9000万円ー4800万円=課税価格4200万円
最後に、課税価格を法定相続分で分けて、それぞれの課税価格を計算します。
(例)
配偶者 4200万円×1/2=2100万円
長男 4200万円×1/4=1050万円
長女 4200万円×1/4=1050万円
2.相続税の総額を計算する
課税価格 |
税率 |
控除額 |
1000万円以下 |
10% |
ー |
3000万円以下 |
15% |
50万円 |
5000万円以下 |
20% |
200万円 |
1億円以下 |
30% |
700万円 |
2億円以下 |
40% |
1700万円 |
3億円以下 |
45% |
2700万円 |
6億円以下 |
50% |
4200万円 |
6億円超~ |
55% |
7200万円 |
それぞれの課税価格を計算できた方は、上記の「相続税の速算表」をもとに税額を算出します。
そして、算出した税額を足して、相続税の総額を求めましょう。
(例)
配偶者 2100万円×15%ー50万円=265万円
長男 1050万円×10%=105万円
長女 1050万円×10%=105万円
265万円+105万円+105万円=相続税の総額475万円
3.それぞれの納付税額を計算する
最後のSTEPとして、相続税の総額を実際の相続割合で分割し、納付額を求めます。
配偶者や未成年者は、特定の控除があると覚えておきましょう。
(納付額の例)
配偶者 475万円×50%ー237.5万円(税額控除)=0円
※配偶者は取得財産1億6000万円まで無税
長男 475万円×30%=142.5万円
長女 475万円×20%=95万円
以上の流れで相続税は計算できるため、一度実際に納付額を試算してみてください。
5.相続税から葬儀費用を控除する際の申告方法
相続税控除の申告方法は
葬儀費用を申告書に記載→必要書類を添付する
この流れです。
申告書は最寄りの税務署、または国税庁のHPからダウンロードできます。
各項目では、相続税の申告書の記載方法を確認していきましょう。
葬儀費用を申告書に記載する
画像引用元:国税庁
相続税から葬儀費用を控除する際には「第13表 債務及び葬式費用の明細書」に金額を記載します。
まずは「2 葬式費用の明細」に支払先・支払年月日・金額・負担する人の氏名を記入しましょう。
そして「3 債務及び葬式費用の合計額」に葬式費用の合計と各人の負担額を記載してください。
必要書類を添付する
発生した葬儀費用の領収書を申告書に添付しましょう。
領収書がない費用は、記録したメモやノートを添付しても構いません。
書類不備があると税務署から追徴税や延滞税などのペナルティに繋がる可能性もあるため、注意しましょう。
葬儀費用の相続税控除に関するよくある質問
この項目では、葬儀費用の相続税控除に関するよくある質問として、以下2つに回答していきます。
- 確定申告で四十九日法要の費用は控除対象ですか?
- 墓代は相続税の対象になりますか?
相続税には非課税財産があるため把握しておくと、生前に節税対策ができるでしょう。
確定申告で四十九日法要の費用は控除対象ですか?
四十九日の費用は、葬儀とは直接の関係がないため、相続税から控除できません。
また、確定申告は年間の所得税を計算して確定させる手続きです。
そのため、確定申告で葬儀費用や法要費用は控除できないと覚えておきましょう。
墓代は相続税の対象になりますか?
お墓や仏壇などの祭祀財産は相続税の課税対象ではありません。
そのため、生前にお墓などを購入しておくと節税になるでしょう。
ただし、ローンを組んだ場合の未払金は相続税から控除できないため、一括購入するなど工夫して対応してください。
関連して、国税庁は以下7つも非課税財産としています。
相続税がかからない財産のうち主なものは次のとおりです。
1 墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物
ただし、骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかります。
2 宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが相続や遺贈によって取得した財産で、公益を目的とする事業に使われることが確実なもの
3 地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人またはその人を扶養する人が取得する心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利
4 相続によって取得したとみなされる生命保険金等のうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分
なお、相続税の対象となる生命保険金については、コード4114「相続税の課税対象になる死亡保険金」で説明しています。
5 相続によって取得したとみなされる退職手当金等のうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分
なお、遺族が受け取る退職手当金、功労金については、コード4117「相続税の課税対象になる死亡退職金」で説明しています。
6 個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で一定の要件を満たすもの
なお、相続人のいずれかが引き続きその幼稚園を経営することが条件となります。
7 相続や遺贈によって取得した財産で、相続税の申告期限までに国または地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附したもの、あるいは、相続や遺贈によって取得した金銭で、相続税の申告期限までに特定の公益信託の信託財産とするために支出したもの
引用元:国税庁
まとめ
この記事では、相続税から葬儀費用をどこまで控除できるのか解説してきました。
遺産総額が増えるほど相続税は増えるため、適切に控除を行うと負担を減らせます。
また葬式費用を誰が負担するかで相続税額の総額が変わることがあります。
適正な財産の分割方法から申告の手続きまで、相続税の申告でお悩みであればぜひ翔和会計までご相談ください。
監修者
税理士法人翔和会計
代表社員税理士
田本 啓(たもと あきら)
大学卒業後サービサー(債権回収管理総合事務所)にて債権・不動産を中心としたコンサルティング・登記関連サービス
都内会計事務所にて法人様、個人事業主様、経営者様の決算及び申告(節税対策・税務調査対応・独立開業支援業務を含む)並びに相続税・贈与税申告業務を経験。
クライアント様がより経営に集中できる環境を一番に考え会計・税務の枠を超えた総合的なご提案とキャッシュリッチになるための資金繰り分析・実行コンサル支援の他、セミナー運営や節税商品の企画など幅広いサービスを展開しています。