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相続税の土地評価は自分でできる!具体的な手順と減税・節税の方法を解説

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相続税の土地評価についてお悩みの方はいませんか?

「相続税の土地評価」と聞くと、難しい作業のように思われます。

しかし複雑な計上の土地でない限り、土地評価は正確な手順さえ踏めば自分でも行うことができます。

本記事では相続税の土地評価を行う方法について解説します。

土地評価を求める計算式と、計算に必要な情報を収集する手順を具体的に解説するため、スムーズな実行が期待できます。

不動産を相続するうえでの減税・節税の方法も紹介するので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

路線価方式の土地の計算のしかた

相続税や贈与税の計算においては、市街化地域の道路には、㎡あたりの単価が付されています。この単価に面積を掛けて計算するやり方を「路線価方式」といいます。

路線価方式では以下の計算式によって相続する土地の価格を求められます。

土地の面積×相続税路線価×補正率=土地の価格

土地の面積、相続税路線価、補正率は市役所などの公的機関で手に入る書類と国税庁のホームページで確認できます。

路線価方式を計算する4ステップ

路線価方式の計算は以下の手順を踏めばスムーズに行えます。

  1. 土地の面積を調べる
  2. 路線価を調べる
  3. 補正率を調べる
  4. 路線価方式を計算する

各ステップについて具体的に解説するため、実際に路線価方式で計算する際にご参考ください。

ステップ①土地の面積を調べる

土地の面積は固定資産税の納税通知書に記載されています。

固定資産税の納税通知書は毎年4月下旬から5月に送られるため、わざわざ役所に取りに行かずに済みます。

土地を誰かと共有で持っている場合は持分割合を把握する必要がありますが、固定資産税の納税通知書には持分割合の記載がありません。

持分割合は法務局で取得できる登記簿謄本の名前と住所の欄で確認できます。

持分割合が分かれば、持分割合と土地面積をかけ合わせて相続する土地の面積を求められます。

ステップ②路線価を調べる

国税庁のホームページにある財産評価基準書にアクセスし、以下の手順で路線価を調べてください。

  1. 相続が開始する年度をクリックする
  2. 対象地のある都道府県をクリックする
  3. 「路線価図」をクリックする
  4. あいうえお順に並んでいる地名から対象地を探す
  5. 路線価図から対象地を探す
  6. 対象地に面した道路の路線価を確認する

路線価の数字の単位は「千円」です。例えば「300」と書いてある場合、路線価は30万円です。

ステップ③補正率を調べる

路線価が場所によって土地の価格を決める指標であるのに対し、補正率は土地の使いやすさによって価格を決める指標です。

補正には土地の形状による補正と接している道の状況による補正に大別され、合計で7つに細分化されます。

7つの補正に関する詳しい情報は以下の表のとおりです。

補正の種類と内容

補正の大まかな種類

補正の詳細な種類

補正の内容

土地の形状による補正

奥行価格補正

対象地の奥行が一般的な土地と比べて長い場合の補正

不整形地補正

対象地の形状がいびつである場合の補正

間口狭小補正

対象地の道路に接している間口が狭い場合の補正

奥行長大補正

対象地の奥行が長すぎる場合の補正

がけ地補正

対象地ががけ地と一体になっている場合の補正

接している道の状況による補正

側方路線影響加算

対象地が複数の道路に接している場合の補正

二方路線影響加算率

対象地の表側と裏側の両方に道路がある場合の補正

 

補正率は土地の種類ごとに設定されています。

土地の種類は「地区区分」と呼ばれ以下の7種類があります。

  • ビル街地区
  • 高度商業地区
  • 繁華街地区
  • 普通商業・併用住宅地区
  • 中小工場地区
  • 大工場地区
  • 普通住宅地区

詳しくは路線価図の説明|国税庁をご参照ください。

地区区分には色と斜線によって路線価が適用される範囲も記載されており、次の方法によって種別されてます。

  • 全てが白抜き:その地区区分はその路線全域に該当
  • 黒塗り:その地区区分は黒塗り側の路線の「道路沿い」だけが該当
  • 斜線:その地区区分は斜線側の路線には該当

地区区分と適用される範囲を確認したうえで、補正率を取得しましょう。

ステップ④路線価方式を計算する

ステップ①〜③で収集した土地の面積、持分割合、路線価、補正率を元に計算すれば、土地の評価額を算出できます。

面積300平方メートル、持分割合1/2、路線価40万円、補正率0.9%であれば、計算式は「300 × 0.5 × 400,000×0.09」となり土地の評価額は5,400万円です。

間違いのない相続税の土地評価を行うために、各要素を正確に把握して計算を行いましょう。

路線価が付されていない地域場合は倍率方式で計算する。

路線価を調べてみると、路線価図上の対象地の路線価がない場合があります。

路線価が確認できない場合は、路線価方式の代わりに土地の評価額を計算できる「倍率方式」の使用します。

倍率方式は、固定資産税評価額に国が定めた倍率をかけ合わせて評価額を計算する方法で、以下の計算式を用います。

固定資産税評価額×倍率×補正率=土地の価格

倍率方式を計算する3ステップ

倍率方式を計算するステップは以下の3つです。

  1. 固定資産税評価額を調べる
  2. 倍率を調べる
  3. 倍率方式を計算する

各ステップについて具体的に解説するので、実際に計算するときにご参考ください。

ステップ①固定資産税評価額を調べる

固定資産税評価額とは、固定資産税を計算するために市区町村が算出した評価額です。

固定資産税評価額は固定資産税の納税通知書の「価格」の欄に記載されています。

他の人と土地を共有している場合は、路線価方式と同じく登記簿謄本で持分割合もチェックしておきましょう。

ステップ②倍率を調べる

倍率表は国税庁ホームページの令和元年分財産評価基準にアクセスし、以下の手順を踏めば調べられます。

  1. 表示される日本地図・下にある都道府県名一覧から対象地の所属するものをクリック
  2. 評価倍率表の「一般の土地等用」をクリック
  3. 表示される市区町村の一覧から対象地の所属するものをクリック
  4. 表示される倍率表のPDFファイルをダウンロード
  5. 対象地の住所から対象地の種類(宅地、田、畑、山林、原野、牧場、池沼)ごとに記載されている評価倍率を確認

評価倍率は対象地の種類に記載している「中」や「純」などの横に書かれている数字を指します。

もし「比準」と記載され評価倍率が記載されていない場合は「路線価がある」という意味なので、路線価図を改めてチェックしてください。

ステップ③倍率方式を計算する

ステップ①、②でチェックした定資産税評価額、持分割合、倍率をかけ合わせれば評価額を求められます。

仮に固定資産税評価額が2,000万円、持分が1/2、倍率が12だった場合、計算式は「2,000,000×0.5×12」となり、土地の評価額は1,200万円です。

路線価方式同様、計算するための要素に間違いがあると評価額に間違いが発生するため、正確な調査と計算が重要です。

特例的な評価方法

相続税の土地評価には特例的な方法として、不動産鑑定士による鑑定評価を基に申告するものがあります。

上記の路線価方式や倍率方式で評価することがふさわしくない、土地の特殊性を反映した評価を行う場合に採用することができる評価方法となります。

例えば、土壌汚染、埋蔵物、長期間野ざらしになっている建物などで固定資産評価額が適正とはいえないものなのです。  

ただし鑑定評価が必ず税務署に認められるわけではなく、認められなかった裁判例も多数あります。

相続税の申告時に鑑定評価で行うか否かは私たち税理士も慎重に検討します。

相続税評価額を減額できる3つのパターン

土地の相続税評価額は以下の3つのパターンに当てはまれば減額される場合があります。

  • アパート・貸家のある土地
  • 借りている土地
  • 500㎡以上の土地(条件あり)

本章では各パターンの減額する理由と減額の目安について詳しく解説します。

アパート・貸家のある土地

アパート・貸家の敷地として使われている土地は貸家建付地と呼ばれ、約20%ほど評価額の減額が期待できます。

貸家建付地の相続税評価額は次の計算式によって求められます。

自用地評価額 – (自用地評価額×借地権割合×借家権割合)=貸家建付地の相続税評価額

「自用地評価額」とは路線価方式・倍率方式によって定められた土地の評価額です。

借地権割合は対象地に記載されているA~Gの記号ごとに定められており、路線価図から調べられます。

記号ごとの借地権割合

記号

借地権割合

A

90%

B

80%

C

70%

D

60%

E

50%

F

40%

G

30%

参考:路線価図の説明|国税庁

借家権割合は、令和3年度において47都道府県で一律30%に設定されているため、30%と覚えておけば大丈夫です。

仮に自用地評価額が400万円、借地権割合がCの70%であれば、計算式は「4,000,000-(4,000,000×0.7×0.3)」となり、土地評価額は316万円になります。

大幅に減額できるため、対象地が貸家建付地の場合は借地権割合と借家権割合を含めた計算をおすすめします。

借りている土地

対象地を借りている場合は借地権割合が適用されるため、減額の対象です。

借りている土地の評価額は、自用地評価額に借地権割合をかけ合わせれば求められます。

仮に自用地評価額が400万円、借地権割合がCの70%であれば、計算式は「4,000,000×0.7」となり土地評価額は280万円です。

貸家建付地の場合と計算方法が異なるため注意してください。

500㎡以上の土地(条件あり)

対象地が500㎡以上であり、かつ以下の要件を満たす土地には大幅な減額が認められています。

  • 規模要件:地積500m²(三大都市圏以外は1000m²)以上であること
  • 地区要件:「普通住宅地区」及び「普通商業・併用住宅地区」に所在すること(一定の地域除く)
  • 容積率要件:指定容積率が400(東京23区は300)%未満の地域であること

三大都市圏とは以下の表に記載のある地域を指します。

出典:国税庁

地積の広さによる減額は「規模格差補正率」と呼ばれ、三大都市圏・三大都市圏以外それぞれに定められているⒶ、Ⓑ、Ⓒの数字を元に計算します。

詳しくは下表をご覧ください。

三大都市圏

土地の面積(Ⓐ)

普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区

500平方メートル以上

1,000平方メートル未満

0.95

25

1,000平方メートル以上

3,000平方メートル未満

0.90

75

3,000平方メートル以上

5,000平方メートル未満

0.85

225

5,000平方メートル以上

0.80

475

引用元:No.4609 地積規模の大きな宅地の評価|国税庁

三大都市圏以外

土地の面積(Ⓐ)

普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区

1,000平方メートル以上

3,000平方メートル未満

0.90

100

3,000平方メートル以上

5,000平方メートル未満

0.85

250

5,000平方メートル以上

0.80

500

引用元:No.4609 地積規模の大きな宅地の評価|国税庁

規模格差補正率は以下の計算式で求められます。

[(Ⓐ×Ⓑ+Ⓒ)÷Ⓐ]×0.8=規模格差補正率

仮に対象地が三大都市圏にあり、地積が800平方メートルの場合は「[(800×0.95

+25)÷800]×0.8」で、規模格差補正率は0.785となります。

土地の評価価格が400万円の場合は314万円まで減額されるのです。

地区要件は路線価図で調べられるため、広い土地を相続した場合には規模格差補正率の調査をおすすめします。

不動産を購入すると節税できる

不動産の相続税評価額は実際の時価よりも低く設定されるため、相続税の負担軽減に役立ちます。

1億円の土地を購入した場合を例に挙げると、相続税評価額は時価の80%である8000万円になります。

アパートの敷地を含めた特定の条件を満たす土地は、入居者に考慮する必要があるなど制約があるため追加で20%の割引が適用されます。

「小規模宅地等の特例」という制度を使うと、さらに評価額を50%引きにして3200万円までの減額が可能です。

不動産を購入すれば様々な割引が適用され、相続税の大幅な節税が期待できます。

まとめ

本記事では相続税の土地評価について、計算方法、減額・節税できるパターンについて解説しました。

内容をまとめると以下のとおりです。

  • 路線価方式を使えば土地の価格を自分で計算できる
  • 路線価方式は、①土地の面積を調べる、②路線価を調べる、ステップ③補正率を調べる、④路線価方式を計算する、の4ステップで計算できる
  • 路線価が分からない場合は倍率方式で計算できる
  • 倍率方式の計算は、①固定資産税評価額を調べる、②倍率を調べる、③倍率方式を計算する、の3ステップで計算できる
  • 特例的な評価方法として、不動産鑑定士による鑑定評価を基に申告するものがある
  • 相続税評価額を減額できるパターンとして、アパート・貸家のある土地、借りている土地、500㎡以上の土地(条件あり)がある
  • 不動産を購入すると節税できる

上記の通りで計算をすすめることができますが、相続税の土地評価においては、評価面積が図面通りでない(そもそも図面がない)ケース、一筆の土地に複数の建物が立っている場合、取得者の違いで評価額が変わります。

また2次相続を踏まえた分割、承継方法など知識、経験が無いと正確な計算が出来ないこともあります。

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監修者:田本啓

監修者
税理士法人翔和会計
代表社員税理士
田本 啓(たもと あきら)

大学卒業後サービサー(債権回収管理総合事務所)にて債権・不動産を中心としたコンサルティング・登記関連サービス
都内会計事務所にて法人様、個人事業主様、経営者様の決算及び申告(節税対策・税務調査対応・独立開業支援業務を含む)並びに相続税・贈与税申告業務を経験。

クライアント様がより経営に集中できる環境を一番に考え会計・税務の枠を超えた総合的なご提案とキャッシュリッチになるための資金繰り分析・実行コンサル支援の他、セミナー運営や節税商品の企画など幅広いサービスを展開しています。

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