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認知症の人が書いた遺言書は有効?無効にしないためにできること
投稿: 更新:ブログ
認知症の診断を受けた人が遺言書を残した場合、その遺言書の有効性について疑問を持つ方は少なくありません。「認知症だったのなら無効になるのでは」と思うかもしれませんが、実は認知症であっても遺言書が有効になるケースもあるのです。
この記事では、認知症の人が書いた遺言書の有効性と評価基準について解説します。遺言書を無効にさせないためにできることについてもご紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
認知症の人が書いた遺言書は有効?
遺言者が認知症だったからといって、その遺言書が必ず無効になるわけではありません。
認知症の人が書いた遺言書の有効性については、遺言書作成時点で「遺言能力があったか」が争点となります。遺言能力とは、遺言者本人が遺言内容やその効果を理解・判断するために必要な意思能力のことです。遺言能力の有無は、さまざまな事実から総合的に判断されるため、認知症と診断されていても遺言書の有効性が認められるケースもあります。
遺言能力の判断ポイント
遺言能力の有無が争点となった場合、最終的な判断を下すのは裁判所です。前述した通り、遺言能力の有無は医師の診断だけでなくさまざまな事実から総合的に判断されます。では、実際どのような基準で評価されるのでしょうか。以下では、主な3つの判断ポイントについて解説します。
遺言書作成当時の遺言者の状態
遺言書作成時の遺言者の状態(認知症の進行度)を示す記録を参考に、遺言作成においての判断能力を推察します。具体的には、医師の診断書や看護(介護)記録などです。症状が軽度であり、言動に異常がなかったと判断されれば、遺言書は有効とされる可能性があります。
内容の複雑性
「遺言者が遺言書の内容を理解できていたか」も重要なポイントとなります。仮に認知症の症状自体は進行していたとしても、「全財産を〇〇に相続させる」など単純で理解が容易な内容であれば遺言者に求められる遺言能力も低いため、有効とされる可能性は高いです。逆に、内容が複雑で判断力が疑われる言動があった場合、遺言能力がなかったと判断される可能性があります。
内容の合理性
遺言の内容が自然であるか否かも、評価基準の一つです。疎遠の相続人が他の相続人より多額の遺産を受け取るような内容だった場合などが当てはまります。こうしたケースでは、判断力が低下していた可能性のある遺言者が、特定の相続人に有利な遺言を作成させられた、あるいは遺言そのものが偽造されたと疑念を持たれることになります。
遺言書を有効にするために
もし認知症と診断されていても、本人に判断能力があるうちなら遺言書の作成は可能です。しかし、遺言の内容に納得できない相続人がいた場合、「認知症だったから無効だ」という主張が出てくることは珍しくありません。認知症でも遺言能力があったと証明するために、事前にできることはしておきましょう。
公正証書で作成する
遺言書が無効になるのを防ぐために、公正証書遺言の作成をおすすめします。公正証書遺言は、遺言者が証人二人の立ち会いのもとで遺言を行い、公証人がその内容を公正証書として作成する形式の遺言書です。公正証書遺言があれば、認知症により遺言書の有効性が問われた場合でも、遺言書が無効とされるリスクは大きく減少します。
医師の診断書など客観的な証拠を残しておく
公正証書で作成することで無効になるリスクは減少はしますが、公正証書遺言だからといって必ず有効になるわけではありません。その後の裁判で遺言能力が認められなければ無効となってしまいます。
こうした事態を防ぐために、客観的な証拠はなるべく確保しておく必要があります。中でも医師の診断書や看護記録などは医学的視点の専門的な評価となるため、特に信頼度が高いです。また、遺言者の日々の日記や、遺言作成時に公証人と意思疎通ができていた様子がわかる動画などもあると良いでしょう。さらに、最近ではLINEなどのSNSでのやりとりも証拠となり得る可能性があります。
まとめ
遺言者が認知症だったからといって、遺言書が無効になるわけではありません。遺言書の有効性は、遺言者の理解力や判断力、表現力などが総合的に評価されます。さらに、遺言書の内容も重要な要素となり、ケースバイケースでの詳細な検討が必要です。遺言書の問題については、相続に強い専門家に相談しましょう。
当社は相続に関する事前相談を無料で実施しております。遺言書の作成をお考えの方は、お気軽に税理士法人翔和会計までご相談ください。
監修者
税理士法人翔和会計
代表社員税理士
田本 啓(たもと あきら)
大学卒業後サービサー(債権回収管理総合事務所)にて債権・不動産を中心としたコンサルティング・登記関連サービス
都内会計事務所にて法人様、個人事業主様、経営者様の決算及び申告(節税対策・税務調査対応・独立開業支援業務を含む)並びに相続税・贈与税申告業務を経験。
クライアント様がより経営に集中できる環境を一番に考え会計・税務の枠を超えた総合的なご提案とキャッシュリッチになるための資金繰り分析・実行コンサル支援の他、セミナー運営や節税商品の企画など幅広いサービスを展開しています。