よくあるご質問
公正証書遺言についての内容をお教え下さい
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遺言とは、人の最終の意思を尊重し、死後その意思の実現を保障するための制度を、遺言制度といい、その意思を遺言(「いごん」または「ゆいごん」)と
いいます。
個人(被相続人)の財産処分の自由を認めている一方で、残された家族(相続人)の生活資源(遺産)や身分関係に影響を与えるから、何でもありの自由を与えるわけにもいきません。
そこで、民法は以下の法定事項を定めています。
- 非嫡出子の認知(民法781条)
- 相続人の廃除とその取消し(民法893条・894条)
- 相続分の指定(民法902条)
- 遺産分割の指定または禁止(民法908条)
- 遺贈(民法964条)
遺言は、いつでも自由に取消し(撤回)ができます。
複数の遺言があって、前の遺言と後の遺言が矛盾しているときは、後の遺言が有効とされています(民法1023条)。
被相続人の財産処分についての最終の意思を残す方法は、3つあります。
- 自筆証書遺言
- 秘密証書遺言
- 公正証書遺言(民法969条)
ここでは、「3.公正証書遺言」について記述します。
公正証書遺言は、3つある遺言方法のうち、最も安全かつ確実な方法といわれております。法律に精通したベテランの公証人がキチンと手順を踏んで作成しますので、時間と費用は掛かりますが、後日、裁判所で遺言書の信ぴょう性や効力を疑われることはありません。
実際のやり方は、遺言したい内容を公証人に伝え、それを公証人が書面にしてくれるというやり方です。
遺言者が、病気などで公証人役場へ出向けない場合は、公証人は遺言者の自宅または病院等へ出張してくれます。また、公正証書遺言の原本は、公証人役場で保管されますので、紛失や偽造される心配もなく、正本を紛失しても再交付が受けられます。
【目次】
1. 公正証書遺言の作成手順
(1)筆談方式:一般的には、公証人と証人2人以上とで行う。
(2)手話通訳方式:聴覚・言語障害者でも作成できます。
2. 証人が必要
公正証書遺言作成に当たっては、2名以上の証人(必須)が必要です。
証人になれない人(民法974条)
- 未成年者
- 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者、直系血族
- 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
3. 遺言執行者
遺言執行者とは、遺言者が死亡した後に遺言書に書かれた内容を実行する人のことをいい、一般的に「遺言書で指定された者」か「家庭裁判所で選任された者」がなります。相続人の中で財産を一番多くもらう人に設定しているケースが多いようです。決めておかないと改めて家庭裁判所で決めてもらうことになり、時間と手間がかかります。
4. 遺留分と公正証書遺言との関係
遺留分を侵害した遺言書であっても、遺言よりも遺留分の請求が優先されます。しかし、遺留分を侵害された者が「相続開始及び減殺すべき財産を知ったときから1年又は相続開始から10年経過するまで」の意思表示期間に請求しなければ、遺言書はそのまま効力を維持しています。つまり、遺言書で財産の相続又は遺贈された人はその内容通りに遺産を受け取ってよいのですが、遺留分減殺請求された場合は、原則としてその侵害し
た分の財産をその相続人に支払う義務が発生します。
5. 公正証書遺言が無効になる例
① 証人が2人以上いない状態で書かれた遺言書
② 証人になれない人が立ち会った遺言書
③ 公証人に身振り手振りなどで伝えた遺言書
④ 遺言者と公証人が閲覧などを行った遺言書
⑤ 公証人が遺言書を書き始める段階でいなかった遺言書